アルパインリバーガイド 代表

大田 俊斉

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大自然に抱かれた水辺の素晴らしさを伝えたい

世界中の川を追いかけて、旅を続ける。そんなリバーガイドのライフスタイルを続けてきた大田さんが腰をおろしたのが上川町でした。川も、山も、人の心も素晴らしい―。夫婦でほれ込み、5年前に移住した大雪山で、川下りを通じて自然の中で遊ぶことの素晴らしさ、季節によって様々な表情を見せる水辺の美しさを伝えます。

川下りに冬山のバックカントリーと同じ魅力を感じて

北海道・苫小牧市出身の大田さんはスノーボードの魅力に取りつかれ、ニセコのスキー場で働きながらスノボ生活を楽しんでいました。時にはバックカントリーに入り、パウダースノーで覆われた自然のままの地形の滑走に挑むこともありました。ゲレンデと違って人工的に作られていないエリアを滑るバックカントリー。目の前には幻想的なモノトーンの世界が広がります。時期、天気、気温、風、積雪などがそれぞれ違い、決して同じ条件で滑ることはありません。その時の状況に合わせて自然と対話しながら、滑るのがバックカントリーのだいご味です。ニセコではスノーボード・インストラクターの手伝いも経験しました。

川下りに出合ったのもニセコでした。夏にオーストラリア出身のラフティング・インストラクターのガイドで川下りを体験した時、「大自然の懐で遊ぶバックカントリーと同じ感覚が込み上げてきた」と振り返ります。それから、ラフティングの魅力に目覚めた大田さんは、その激流から日本のラフティングの最高峰と言われる四国・吉野川での経験を経て、世界中のインストラクターがハイレベルな資格取得を目指して訪れるニュージーランドへ渡ります。

ニュージーランドで最難関のラフティングガイド資格を取得

日本の川下りが二次元なら、ニュージーランドは高さが加わった三次元。最初は、自分がどんな状況か把握できなくなり、険悪な水流に翻弄されました。ニュージーランドのラフティングツアーでは高低差7メートルの滝を落ちていくコースもあり、そうした厳しい条件でもまれることで、水の読み方、安全管理など、世界で通じるラフティング技術を身に付けました。ニュージーランドに渡って2年目。大田さんはニュージーランドラフティング協会(NZRA)のグレード4/5の国家資格を、さらにその約7年後にはツアーリーダー(責任者)に必要な最難関のシニアガイドを取得しました。ラフティングのガイドは、資格さえ持っていれば、世界中どこでも仕事があります。南半球の拠点がシーズンオフになったら、北半球でガイドをしている人もたくさんいます。世界中の川があるところ、どこにでも行ける。そんな自由な生き方が性に合っていたんだと思いますと笑います。

大雪山に根を下ろし、地域にフォーカスする生き方を選択

ガイドとしてはそうした生き方に幸せを感じる一方、家族との暮らしや子育ての環境を考えるようになったころ。スキーのガイドで以前、訪れた大雪山を思い出しました。柱状節理の断崖絶壁が約25km続く渓谷には、石狩川上流部の急流が続きます。大雪山国立公園の大動脈とも言える石狩川は最高のラフティングコースになる。そう確信した大田さんは、層雲峡の入り口の川沿いに事務所を構え、川下りのツアーを企画・運営する「アルパインリバーガイド」を設立しました。「ガイドとしての生き方を貫くか。地域に根を張って、その土地にフォーカスしていくか。迷いましたが、年齢的にも後者の生き方にかけてみるのも面白いと思ったんです」と力を込めます。

季節によって刻々と変化する水辺に広がる無限の遊び

アルパインリバーガイドでは、石狩川上流部の層雲峡・大函から、なだらかな旭川の都市部を抜けて、神居古潭まで11~12区間(8~9キロ)に分けて、河畔林の状態や水量を見極めて、季節によって案内するコースを変えています。雪解けが本格的に始まる春先は、大函・小函セクション、二の岩セクションなどで道内でも屈指の激流下りが楽しめます。緑が豊かになる6月は、どの区間にも水が流れているので激しい川下りから優しいファミリー向けラフティングが楽しめ、ある意味ベストシーズンです。山が水をため込む夏は、水量はぐっと減りますが、真夏の太陽の下で川に飛び込んだり、泳いだり、多彩な遊びがあります。紅葉が始まる秋は、また違った景色が広がります。9月上旬には増水するタイミングがあり、夏には行けなかった区間の川下りが楽しめます。このように、季節によって川の表情は様々で、楽しみ方も様々です。ツアーは半日、1日があり、カスタムツアーではキャンプや釣りを楽しむこともできます。大雪山の水辺の遊びは無限に広がります。

川と向き合う時間 “地球の生命”とのつながりを感じて

「より長く、深く、水辺の時間を楽しんでほしい。地元の人がツアーに参加して、地元の見方ががらっと変わったと言ってくれたのが嬉しかった。ツアーを通じて、川の魅力に多くの人がふれて、そこから結構ゴミが落ちているんだなとか、生活排水によって川の水が汚れているなとか、環境のことに目を向けていってもらえればうれしい。そのために水辺のファンを増やすことが今後の目標」と大田さん。自身が川と向き合う時、何を考えているか、深く静かに思いを巡らせた大田さんは「山や川にいのちを感じているような気がします。それらと繋がっているのが心地よいんだと思います」と語りました。

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アルパインリバーガイド 代表
大田 俊斉
・一般社団法人ラフティング協会 シニアガイド
・ニュージーランドラフティング協会(NZRA) グレード4/5 シニアガイド
・British Columbia River Outfitters Association(BCROA) トリップリーダー(オール/パドル)
・Rescue 3 Swiftwater Rescue Technician(SRT) I
・ウィルダネスファーストエイド ファーストレスポンダー(80h)
・カナダ雪崩協会アクティブメンバー
・日本雪崩ネットワーク 雪崩業務従事者レベル1

大学卒業後、スノーボードをきっかけにウィンタースポーツなどの自然にかかわる仕事をするようになる。妻のまりさんとはこのころ出会った。その後ニュージーランドで国家資格であるラフティングガイドの資格を取得。日本やニュージーランドをはじめ、カナダ、ザンビア、ウガンダ、アメリカなど世界中の急流でガイド経験を持つ。会社事務所から自宅までは、石狩川を下って帰ることができるのがお気に入り。

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